2013年04月17日

高島和子氏の稲つくりのレポート開始

 3月28日にメモした高島和子氏の稲つくりを学ばせていただく第一弾として、種籾の温湯消毒に呼んで頂いた。

 種籾には稲特有の様々な病原菌(e.g.バカ苗病菌)が籾の外側や籾と玄米の間に潜んでいて、繁殖環境が整うのを待っている。
 種籾の種子消毒には、@数醜類の農薬を溶かした溶液に種籾を浸し、稲特有の菌を死滅させる、A繁殖が旺盛な酵素を溶かした溶液に浸し、彼らの助けを借りて稲特有の菌の繁殖を抑える、B種籾を温湯に一定時間浸して、稲特有の菌を死滅させる、等の方法がある。

 高島氏は種籾に付着している稲特有の菌を処理する方法として、温湯消毒で対処している。

 ちなみに耕さない田んぼの稲つくりでは、酵素の力を借りる方法で種籾の菌の処理を行っている。

 温湯消毒には温度管理が自動化されて温湯消毒装置が製品化されており、昨年から導入しているが、それ以前はお風呂のお湯の温度を調節しながら行っていたらしく、その頃と比べたら格段に作業が楽になったとのことだった。

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<稲特有の菌の消毒に使う温湯消毒装置>

 「60度のお湯に約10分浸す」作業は、電気を使って温度管理が自動化されており、種籾を温湯に10分間浸すとアラームで知らせてくれたりと、作業が簡素かされている。

 温湯に種籾を浸した後、冷たい水に浸し、できるだけ早く、種籾の熱を冷ます作業があるが、その作業は数分で終了する。

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<種籾をお湯に浸し、温湯消毒している様子>


 温湯消毒装置を使った種籾の菌の処理は始めての経験だった。

 この温湯消毒装置は約26万円と比較的高価であること、200Vの電源を用意する必要があり、年に一度しか使わない作業の投資と考えると小規模の農家だと厳しいが、グループ単位で共用であれば導入したいと思うほど、温湯消毒装置を使った作業は簡単であった。

 ただ、この作業で使っている水は湧き水を使っており、塩素が入った水道水は御法度である。

 また、この作業の前に、種籾の選別が行われているが、高島氏は塩水選で使う塩の処理が環境に優しくないとの判断から塩水選ではなく、唐箕を使い、通常よりも風量を強くすることで、より実の詰まった種籾を選別しているそうだ。

posted by アッケン at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 高島氏の稲つくり

2013年03月28日

高島氏の稲つくりを学ばせていただく

 "南阿蘇村"と"自然農法家"の2つのキーワードでググると1番目に名前がリストされる女性がいる。

 約20年前に南阿蘇村に移住され、独自の感性でお茶つくりや稲つくりを実践されている高島和子氏である。

 不耕起栽培を始めた頃、ネットで高島氏の存在は知っていたが、岩澤農法の不耕起栽培による稲つくりで頭がいっぱいの状態が続いていたため、コンタクトするまでには至らなかった。


 だが、一昨年の刈り取りの頃から、お世話になっている。

 特に、去年の刈り取りの頃から幾つかのイベントに誘っていただく中で情報交換する機会が増え、高島氏の考え方や稲つくりに興味が湧いてきていた。

 ただ、苗つくりについては聞いたことがなく、昨日、お伺いして教えていただいた(電話では、何度か話していたが、今年始めてお会いした。車で数分のところだが・・・。)。


 苗つくりの工程をお伺いして、最初に「面白い!」と思った。

 品種は主に酒米やヒノヒカリなどであるが、種籾は唐箕で丹念に選別し、4月中旬に温湯消毒した後、数日間で催芽させ、苗箱に種蒔きし、そのまま田んぼに並べ、ラブシートで覆っておくだけだという。

 4月中旬〜下旬の南阿蘇の気温環境は最低気温は10℃を上回る日は少なく、氷点下に近い日もある。最高気温は25℃を上回ることはないが、その頃の日差しは一段と強さを増し、ハウスでの低温育苗では昼温が25℃を上回らないようにするため、寒冷紗で光量を制限するなど、暑さ対策で大変な時期である。


 苗つくりの工程を教えていただく中で、半ば強引にお願いして、苗つくりをお手伝いさせていただくことになった。


 これまで教わった不耕起栽培の常識を異なる面から見る機会を作れ、新たな非常識を観察して、体験することで、岩澤農法である不耕起栽培による稲つくりに追加・修正できることが見つかればと思っている(「田植えが5月中旬以降になる特定地域」では低温育苗が気象環境的に不可能であり、特別な苗つくりにならざるを得ないのだが、岩澤先生が存命の時に指導いただいて作り上げた特定地域での苗つくりは、難しく、面倒な苗つくりになっている。そのため、特定地域での新たな苗つくり、簡略化できる苗つくりが当面の課題となっている。特定地域での色々な方の苗つくりの特性から解決策を見いだす必要がある。)。

 高島氏は「稲が実った立ち姿」で稲のできを判断するという、理論や科学データに頼らない、女性ならではの物の見方をする方であり、そんな稲つくりの感性も見習いたいと思っている。


posted by アッケン at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 高島氏の稲つくり